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菜根譚の菜根譚らしい言葉

老子の教え水は低きに流れるでも述べましたが、私は西洋占星術やタロットカードのメッセージを伝えるときに『あえて』中国古典を引用したりします。自分に厳しくという感じの孔子や荀子は避けて、癒し系の老子や菜根譚を引用することが多いのですが、菜根譚ってなに?のような感じで、今一つ知名度が低いので紹介したいと思います。

菜根譚は明末期の隠士洪自誠が残した書物です。老子の思想に近いものを持ちながら、道教と仏教的な思想がミックスされた思想が根底に流れているように思います。ただ、菜根譚の由来は朱子という儒学者が記した小学の中にある『菜根は硬くて筋が多いけれど、これを噛みしめてこそものの真の味わいがわかるよ』的な言葉を元にしているので、道教と仏教的な思想の他に根底には儒教的な思想が流れており、孔子の思想が根底に流れているのは間違いありません。日本の禅宗では結構読まれているようで、私が初めてこの本に出合ったのもどこかのお寺でだったと思います。

という事で、菜根譚そのままの言葉をご紹介します。

藜口莧腸者、多氷清玉潔、袞衣玉食者、甘婢膝奴顔。蓋志以澹泊明、而節従肥甘喪也。

質素な生活を送り、清廉潔白に生きることで人間性が磨かれ成功するが、豪奢な生活を送っていると寄ってくるものはおこぼれを拾おうとあなたに媚びへつらうものばかりで、そんなものばかりを相手にしているうちに勘違いし、人間性が損なわれ、やがて身を持ち崩すこととなる。というような戒めとして引用すると大変使い勝手が良いです。

例えば タロットカードで エンペラー(皇帝)の正位置、 チャリオット(戦車)の逆位置とテンパランス(節制)の正位置なんてものが出たりすると引用のチャンスです。 あなたの努力が報われて人望が集まりリーダーシップが発揮できますが、ついつい調子に乗って火傷してしまいそうな暗示がカードに出ていますね。
などと言いながらひと呼吸おきます。
ここで、この テンパランス のカードに注目してほしいのです。実はこのカードには節制という意味があります。中国の古典の中に菜根譚というものがあって、その中で、あさぎややまごぼうというものを食べて質素な生活をしている人は人間性が磨かれ成功する人が多いが、豪奢な生活を送っていると志が失われ、人間性が衰えていくということを言っています。
菜根譚の言葉を少し詳しくお話しすると、藜(あさぎ)や莧(やまごぼう)の若葉を摘んで食べるような、粗食でお腹を満たし、質素な生活を送っているものには氷や玉のような清廉で穢れのないものが多いが、龍の飾りをつけた衣装を着て飽食をしているような着飾り豪勢に過ごしているものには奴隷が自分にへつらい従うのに甘んじてしまう。おもうに、人の志気は淡白で質素な生活の中で磨かれるものであるが、贅沢な生活をして自分に媚びへつらうものの中で調子に乗っていると志を失ってしまうものである。という言葉なのですが、節制のカードはそんなことを警告しているかと思います。
一時の成功に浮かれて調子に乗っていると失敗し孤立するよ。という事をカードは暗示していると思うのです。この節制のカードのメッセージを大切にして、成功に寄ってくるものではなく、苦楽を共にしてくれるものを大切にし、自分から努力することで、このチャリオット(戦車)のカードが正位置に反転して成功と成長を成し遂げることができるかと思います。

などという使い方をします。占いの結果として伝えている事は良いことも悪いこともあるよ。一緒に頑張ってくれる仲間を大事にしましょう。という至極当然のことを言っています。
成功したと思える体験があったとすればエンペラー(皇帝)のカードが当たった。慢心が失敗を招くので注意してください。と申し上げますし、なんだか失敗したという体験があったとすれば、きっと成功体験で自分の目を曇らせてしまったことが失敗の原因です。冷静になって努力するきっかけをつかめば再起のチャンスがあります。そもそもあなたには実力があるので大丈夫です。などと申し上げます。
成功体験もあり、後悔もあるような場合は多分そのまま当たっているみたいな受け止め方をしてもらえますし、後悔を乗り越えて成功しているような場合、努力が報われたのだと自己肯定してくれたりするのでとても使いやすい感じです。