火星が象徴するもの


火星
周期:688日
逆行周期:2年程度の間隔で2ヶ月半程

活発さや集中力、情熱、執念を象徴します。

「どのように立ち向かうのか」という傾向が火星との位置には現れるかと思います。

火星は夜空では赤い星です。時に情熱的な色に、またある時には執念深い色に、力強く輝いているように見えます。

火星にはMars(マーズ・マルス)、ローマ神話における戦と農耕の神の名前があてられています。このマーズですが、ギリシャ神話でいうところのオリンポス12神の一人であるアレスと同一視されています。

アレスは戦の神であり、男性を象徴する男性神です。そのため火星はホロスコープ上で雄雌を示すマークのうち雄を示すマーク、男性のマークで描きあらわされます。

火星は情熱的なものを象徴し、集中や行動力のサインです。しかし時に情熱や集中はバイアスを生み出し、誤解や暴走を生み出します。行動力は何かを生み出す起爆剤にもなりますが、何かを破壊する力にもなります。

火星はまさに戦士です。実際に相手と対峙し、状況度打開し、打ち勝つための行動をするだけの実行力を持ち合わせています。何らかの目的のために自分自身の力をふるうというテーマとその方法を与えられたときに、火星はその力を最も発揮します。明確な目標やゴールを目指し、それが正しいと思い込むことができたとき、火星は奮起し奮い立つのです。

目標や戦う相手が明確に示され、その方法論がはっきりとして正しく実現可能なものであったとき火星の行動力は頼もしい推進力となりますが、どれか一つが欠けても暴走し、手ひどい痛手を負うことになります。それを象徴するかのようにアレスは、戦の神ですが結構あちこちで痛い目にあっています。

古来火星はその状況が整わなければ暴走をまねき、今はまだ機ではないという事で押さえつけられることを好まないという性質から「有害」な惑星であるとされてきました。赤く輝く火星は時に禍々しく、好まざるものに見えたのです。

しかしその激しすぎるほどの力の向く方向をうまく手なずけ、コントロールし、正しい方向にぶつけることができた時、状況を打破するためのエネルギーとなり、新たなものを生み出すためのきっかけとなり、強引に成功をつかみ取る鍵になりうるのです。

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火星の逆行について

火星の行動力、エネルギーの源泉となるものは、その行動が疑いなく正しいと信じる力です。根拠を特段に必要とせずに正しいと信じ、正しさを補強する理由を探す行動。それは確証バイアスと呼ばれるものそのものです。火星が逆行するときは確証バイアスの影響がより強く出ることになると感じます。出すぎてしまうと言っても良いかと思います。

確証バイアスが行き過ぎた時に何が起こるでしょうか。確証バイアスがかかった行動が本当にバイアス抜きにしても正しいとき、行動が正しく理にかなっていて結果を伴ったとき、熱狂と陶酔を生み出します。つまり調子に乗ります。

逆に確証バイアスがかかった行動が間違っていた場合はどうでしょうか。この場合確証バイアスを捨て去り行動を変えることができなくなります。行動へのこだわりを捨て去ることができず行動が目的化してしまいます。

火星そのものがエネルギッシュで強烈なインパクトを持った惑星であるがゆえに、逆行するときには普段よりも激しいのですが、普段から激しいために逆行の印象は薄いように思います。その辺りから古来「有害」な惑星とみなされたのかもしれません。

火星の影響が(正しいかどうかは別として)火星が信じる前進以外の方向性に向かうことがあるとすれば、火星がこだわりぬいた結果として、引き返せないほどの間違いに気がつき、喪失感に苛まれたときだけかもしれません。

火星とサイン(星座)の関係について

それぞれのサインの中で金星は、単体で次のようにふるまいます。

牡羊座の火星は主張します

白羊宮(牡羊座)の支配星は火星です。白羊宮(牡羊座)において火星の力を強力にします。火星の活発さや積極性というものが最大限に引き出される場所が白羊宮(牡羊座)のサインなのです。

白羊宮(牡羊座)では、承認を受けるためには『何か行動を起こさねばならない』という強烈な思いが火星を支配します。白羊宮(牡羊座)における火星は行動することそのものに意義を感じ取ります。行動し前に進んでいると『思える』事が大切なのです。

ここで火星が白羊宮(牡羊座)の支配星であるという事が話をややこしくします。火星が自分自身で考えて、行動し、結果を手にする必要があると感じてしまうのです。直接的な指示や命令だけではかえって反発を招いてしまいかねません。火星が自分自身で考え、行動し、成功したと思える。という事が必要になるのです。

実際に行動する事や課題が与えられ、目に見えた成果を手に入れつづけたとき、迷いなく進んでいき、とどまることを忘れます。それは時に圧倒的な快進撃を生み出すことになります。

行動する指針が見つけられず、行動力を生かすことができない環境に置かれたとき、白羊宮(牡羊座)の火星は強いフラストレーションを感じて発散する場所を求めて行動します。多くの場合それは自己主張という形になり、周囲の目を引くためだけの強引な行動になります。

また、実際に行動した結果目に見えた成果が手に入らないとき、白羊宮(牡羊座)の火星は方向転換をすることができません。自手に入る『はずだと思っている』成果にこだわり、囚われ、意固地になり、逆転するためにより多くの成果を手に入れようとして、さらに大きく行動します。

通常、白羊宮(牡羊座)のサインにおける火星の力を御するためには、課題と評価を正しく与える必要があります。もしもそれを与える存在がないとき、その力を御するもう一つの方法は『考えることなく』行動する指針を与えるという方法があります。日課、あるいはルーティーンと呼ばれる類のものです。これをやっておけば大丈夫だという指針を与え、その結果ではなく行動を評価することで火星を承認するという方法です。

何か行動を起こし、何らかの成果を手に入れなければならないという思いが、白羊宮(牡羊座)における火星の性質となるため、行動の結果手に入れた成果という、鼻先の人参が必要になるのです。

 
牡牛座の火星は頑固です

金牛宮(牡牛座)の火星は、自分の正しいと信じた行動を曲げることをしません。自分自身の行動そのものにこだわります。行動に伴う結果よりも方法の方が大切になるのです。そして、その方法が『かつての成功体験があるもの』であればあるほど、その方法にこだわります。

白羊宮(牡羊座)の火星が『何か行動を起こさなくてはならない』という強烈な思いを持っていたのに対して、金牛宮(牡牛座)の火星は『簡単に行動することをやめてはならない。投げ出してはならない』という思いを強烈に抱くことになります。

もちろん継続する行動が正しく、必要なことであればそれは美徳となり、継続することを称賛されます。しかし状況にあっていないとき、状況変化に気がつけていないときには愚行となります。

悲しいことに金牛宮(牡牛座)の火星はどちらかと言えば目的のための手段ではなく、手段が目的化してしまいます。目的を達するためにより効果的な方法に乗り換えることができなかったり、目的達成には特にこだわる必要のない細部にこだわったりという事をしがちです。

しなやかさには欠けますが、目先の結果に一喜一憂することなく、愚直に継続する事が望まれる状況において、金牛宮(牡牛座)の火星は、一度その行動に納得してしまえば常人ではたどり着けない位置に辿り着くことができるだけの能力、ポテンシャルを持っていることも事実です。

 
双子座の火星は注意力散漫です

双子宮(双子座)の火星はマルチタスクに追われて注意力散漫になります。実は元々実行力に優れた火星ですし、目まぐるしく与えられる課題一つ一つを超えていくこと自体はさほど本来問題になりません。むしろ達成感を小刻みに手に入れられ、なおかつ超えられそうな課題がまだ目の前にあるという状況が、火星のテンションを上げます。

双子宮(双子座)の火星がうまく働くかどうかは、火星にとって切替をうまくできるかどうか。という事と、それぞれの課題が独立しているかどうか、ひとつづつの課題から小さくてもよいので達成感を得ることができるかどうかにかかっています。複数の独立した課題を適度に切り替えながら超えていくとき、火星はいくつもの成果を同時に手に入れる実力者であるという満足を手に入れることができるのです。

小さな成果をいくつも手に入れることができるタームが火星にとっての双子宮(双子座)のサインなのです。小刻みで小さな成果であるが行動に対しての結果が早いという状況は、即物的な火星の性格にあっているのです。がしかし、火星本来の情熱や集中力、突破力というものが殺されていまっている状況だという事に火星は気がつくことができません。

さて、双子宮(双子座)の火星においてマルチタスクのタスクの数が火星の能力を超える数のタスクとなった場合、切り替えをして一つ一つの物事にあたることができなくなります。マルチタスクと言いながら実は、それぞれの課題に同時に向き合っているのではなく、一つ一つに集中してあたっているために切り替える余裕と時間が不足し、本当の意味で同時に対処しなくてはならないというマルチタスクを求められたとき、あるいは複数の課題をこなすことで最終的に果実を手に入れられる類のもので途中の成果が見えないようなとき、火星は混乱し、右往左往し、全てを投げ出そうとしてしまいます。

複数の別々の課題のように見えて、実は同じ課題ではあるけれど別々の方法でアプローチしているというような場合もまた、火星を混乱させることになります。出発点からゴールに至るまでの道のりがAルート、Bルートあるように複数のルートがあり、そのどちらも行わなければならないというような場合、どちらも行わなければならないという事が火星には理解できません。正解が二つあるという事が火星を混乱させるのです。結果、ゴールするという事実だけを重要視し、どちらかのルートを否定してしまうという事になります。

 
蟹座の火星は反抗期です

巨蟹宮(蟹座)は反抗期です。基本的には抑圧された状態に不貞腐れ、ストレスを感じながら耐えることになりますが、時として不愉快な刺激に対して条件反射的に反発します。巨蟹宮(蟹座)のサインでは『自分たち』という概念がフォーカスされ、火星自身も『自分たち』の中の一人として存在しますが、火星の目線は外に向けられています。

『自分たち』の中で期待され、守られ、育まれているのですが、外に目が向くことで、閉じ込められ、抑えられ、抑圧されているように感じてしまうのです。

外側に目を向けた時に火星の目に映るのは外敵の存在です。多くの場合、巨蟹宮(蟹座)の火星は『自分たち』の中で守られる自分にストレスを感じていますが、『自分たち』の中で『自分の』存在を示す機会、『自分が』外敵と戦い『自分たち』の中で称賛される機会に恵まれたなら自分の実力を顧みることなく、喜んでその戦いに身を投じます。

まさにギリシャ神話において、ヘラクレスに襲われるヒュドラを救おうとして行動し、あっさりとヘラクレスに踏みつぶされた蟹カルキノスのように、無謀な戦いにすら参加してしまうのです。

『自分が』抗するべき『自分たち』の敵を見出せないとき、火星は『自分たち』の中で守られ停滞してしまいそうな自分自身に不快感を覚えます。自己表現をしたい。何者かでありたいという欲求を持ち、現状に対する不満を抱えます。とはいえ巨蟹宮(蟹座)の火星はまだ何者でもないものです。あるいはこれから何者かになろうとするものです。それは伸びしろと呼ぶべきものですが、今この時点では何者でもないという事が火星にとってストレスになるのです。

ギリシャ神話ではヘラクレスのヒュドラ退治は二度行われています。一度目はヒュドラはヘラクレスを退けますが、二度目の討伐により討ち果たされます。

一度目の討伐の際、ヘラクレスと激しく戦いこれを退けるヒュドラの事を、カルキノス(蟹)は強い憧れと尊敬を持って眺めた事でしょう。しかし振り返って、これに守られている自分自身のふがいなさ、何もできない自分自身の力の至らなさにストレスを感じたかもしれせん。『自分の』敵を見つけられないときの巨蟹宮(蟹座)における火星が抱えるストレスは、この類のストレスです。

二度目の討伐の際、ヘラクレスはヒュドラ退治に成功します。つまりヒュドラとカルキノス(蟹)にとっては絶望です。しかしヒュドラがヘラクレスにやられているとき、カルキノス(蟹)は『自分が』行動を起こす機会だと感じたはずです。自分自身の実力は別として『自分たち』の中で『自分の』存在を示す好機だと考えたのではないでしょうか。このような感覚こそが、巨蟹宮(蟹座)における火星的な行動原理です。

 
獅子座の火星は認められたい

獅子宮(獅子座)の火星は誰かに評価してもらう事に喜びを感じます。誰かが決めた指針に従って行動し、評価されることを喜びとします。同じ火のサインである白羊宮(牡羊座)では自分自身で考えた行動の結果として成果を手にすることが重要でしたが、獅子宮(獅子座)ではだれかに与えられた任務を遂行し、自分が評価されることに喜びを感じるのです。

獅子宮(獅子座)の支配性は太陽です。獅子宮(獅子座)における火星は、太陽の配下として、戦士としての性質が強く出ることになります。絶対的に信頼できる指揮官の下で自分の特性を存分に生かして貢献すること。可能であれば『自分の存在によって』『彼の計画が達成された』という状況が獅子宮(獅子座)の火星の理想です。

『俺に任せろ。俺は何をすればいい?』というセリフが獅子宮(獅子座)の火星にはよく似合います。火星がこのセリフを口にするとき火星が期待しているのは、比較的単純で解りやすい行動の指示です。行動そのものは単純であるものの、多くの労力と体力が必要という理由で、達成することに困難なミッションを与えられたとき、さらにそれが自分にしかできない重要なミッションであると思える時、火星は燃えます。

そして『彼のおかげで成功した。彼のエネルギーがなければこれはけして成しえなかっただろう』という類の評価を、火星に指示を行った指揮官が自分たちのコミュニティーに向けて発信するのを耳にしたとき、火星は無上の喜びに震えるのです。

逆に獅子宮(獅子座)の火星は、自分自身で考えて行動することは苦手です。また複雑な行動を指示されることや、目立った評価を得られないポジションを与えられることも望みません。獅子宮(獅子座)の火星を御するためには、単純な行動や目的を提示し、評価する事が必要になります。それらが与えられなかった時火星は、不満を感じ、不貞腐れます。

 
乙女座の火星は神経質です

処女宮(乙女座)の火星は、自分自身の行動をより完璧な型にすることにこだわります。どちらかといえば、その神経質さからくる攻撃性を、自分自身や自分の仲間に向けて振り向けます。変化しようという動きがあった際に、変化をもたらす原因に目を向けるのではなく、変化しようとしているものに対して批判をしてしまうのです。

処女宮(乙女座)の火星は、金牛宮(牡牛座)の火星と同じく、自分自身の行動を変化させることを好みません。変化する必要性をもたらすものがあればもちろん、それは処女宮(乙女座)の火星にとって悪しきものです。しかし、それに応じて変化しようとしているものがあれば、火星の攻撃性はむしろそちらに振り向けられます。

獅子宮(獅子座)で乗りと勢いで構築され、拡大された活動を整理し、継続するために必要なものと不要なものを判断することで、持続可能な仕組みを構築するということが処女宮(乙女座)の役割となります。そんななかで、不要なものを排除しつぶすことが、火星の役割となります。このような攻撃性を発揮するためには、これまでの活動を変えることなく、持続することが正しいと信じることが、火星の行動の大義名分となります。

今までの行動を変えたくないという事への確証バイアスとして、これまで行ってきた事の正しさを探し回り、些細な変化を見つけた時にそれを『正しく修正しなくてはならない』という思いを強めるという性質が処女宮(乙女座)の火星の性質です。多くの場合、正しく修正される場合が自分よりも弱ければ、その攻撃性をますます強めることになります。

些末事だが問題視すべき点に取り組むことを承認される時、処女宮(乙女座)の火星は大きな喜びを感じます。処女宮(乙女座)の火星は(自分が利組んでいる)些末な物事をさも重大なことのように扱い、今を維持するためには必要不可欠だと、ことさらに自分の実力を評価して欲しいのです。

 
天秤座の火星は板挟みになります

天秤宮(天秤座)の火星は不安定です。処女宮(乙女座)で感じていた自分たちの現状こそが正しいという価値観に対して、また別の正義を見てしまうのです。自分たちの正義と、彼らの正義『どちらも正しい』という事が見えてしまうのです。

自分たちだけが正しいと主張することは、火星にとっての得意分野です。自分は正しく、相手は間違っているという構図の中で動くことは得意なのですが、どちらの言い分にも一理ある中で落としどころを探すという事は火星にとって苦手分野です。そして天秤宮(天秤座)のテーマはまさにその、落としどころを探すことにあります。

これさえ行っておけば認められるというわかりやすい行動が見つけられず、どの行動も正しく、逆にどの行動にも間違いが含まれているような感覚に陥り、思い悩み、具体的な行動を取れなくなってしまうのです。

天秤宮(天秤座)の火星が行動指針を再び見出すためには、これが正しいという事に目を向けるのではなく、これだけは譲れないという指針に目を向けることで、譲れないものを守るという一点を正しさとするように視点を変えることが最も有効に自分を取り戻す方法となります。

譲れないものを守ることを最優先課題とすることで、それ以外のことに対して折り合いをつけ、認めるべき所は認め、否定すべきところは否定するという事ができるようになります。天秤宮(天秤座)での火星はそれを学び、気付くことで、周囲との折り合いのつけ方、自分の主張の通し方を学んでいくことになります。そして何より、譲れないものを考える過程で、自分にとって最も大切にすべきものに気がつくのです。

 
蠍座の火星は臆病です

蠍座の火星は慎重です。先の天秤宮(天秤座)での火星は、守るべきもの、譲れないもの、自分にとって最も大切なものを行動指針とすることで、周りに対してどのような態度をとるのかという事の基準にします。天蠍宮(蠍座)ではそれがこだわりとして強く出すぎてしまうあまり、それ以外の事に対して消極的になってしまいます。

自分自身が大切だと思うものを大切にするがあまり、それ以外の事や、中途半端に肯定や否定をされたとき、それは自分には関係のないこと、自分の世界とは違う世界の出来事であるとして、関りを持たないという選択を取ります。結果として新しいことや革新的なことを避け、慎重に行動し、保守的で、臆病に見えてしまうのです。

自分にとって大切なものを承認してくれる相手が現れた時、基本的に天蠍宮(蠍座)の火星は相手を信用した態度を取りながら、どこかで疑心暗鬼に囚われます。相手が承認してくれるだけでは足りないのです。相手もまた同じものを大切にし、共感してくれていなくてはなりません。そう確信するために天蠍宮(蠍座)の火星は相手を試します。

 
射手座の火星は大雑把です

人馬宮(射手座)の火星は集中力に欠けますが、大局的な視野を持ちます。正確には集中力に欠け、自分は大局的に正しいという信念に囚われます。

自分自身は真実に気がついているという信念が人馬宮(射手座)の行動原理です。人馬宮(射手座)の火星にとって、自分は正しく他はどうでもよいこと(あるいは他は間違っている)のです。新しい物事に出合った時、自分の信念を補完することに使えるものが正しく、使えないものは間違っているのです。

自分自身は正しい(と疑っていない)のですから、細かいことは気にせずに、前へ前へと進んでいこうとします。

人馬宮(射手座)が象徴するもので引用したニュートン先生の言葉を再度引用します。

A man may imagine things that are false, but he can only understand things that are true, for if the things be false, the apprehension of them is not understanding.

人は、間違ったことを想像する事はできる。しかし、理解したといえるのは、正しいことについてだけである。もし、想像したことと違ったことが起きたとすれば、それは理解していなかったということだ。

Isaac Newton (アイザック・ニュートン)

本来、自分の想像と異なったことが起きたとすれば、自分の想像が間違っていることに気がつき、細部を修正するあるいは、根本的に考えを見直すチャンスです。人馬宮(射手座)における本来のテーマは、真理に到達するためにこだわりを捨てる。ことにあるのですが、火星にとってそれは苦手とするところのひとつです。

結果、人馬宮(射手座)の火星は、想像通りの事が起きれば調子に乗り、ますます前へ前へと進んでいきます。もしも想像と異なることが起きたなら、自分の想像は大局としては正しいという事を大義名分として、自分の想像と異なった事実を捨ておきます。捨て置いた事実を元に、自分自身に対して細かな修正を加えることをしません。また捨て置いた事実は文字通り捨て置いて、その事実に対して特段のこだわりを見せません。そのため、人馬宮(射手座)の火星は、推進力はあるものの、大雑把に映るのです。

 
山羊座の火星は貫きます

磨羯宮(山羊座)の火星は実際に行動することに喜びを感じます。磨羯宮(山羊座)のテーマは、はっきりとした目的やルールに向かって一点集中することにあります。これは火星にとって最も得意とするところであり、居心地の良い状態です。

これさえ行っていれば承認されるという事がはっきりしているとき、その行動が困難を伴うものであるかどうかは、火星にとって問題になりません。また、なぜそれをしなくてはならないのかという事も、火星にとっては問題になりません。理由は関係なく、この事を完遂するそのことだけを目指すという、火星にとっての得意分野を課題として与えられることになり、その力をそのことだけに振り向けることができるのです。

磨羯宮(山羊座)の火星は自分自身がしなければいけない事そのものが重要であり、そのほかの事にはあまり興味がありません。自分が与えられた仕事を完遂し、達成感を得ることに喜びを感じるのです。自分自身の行動に横やりが入ったとしても、それを無視して淡々と、自分自身の役割を果たすことに集中します。

 
水瓶座の火星ははみ出します

宝瓶宮(水瓶座)の火星は、集団行動を求められることにストレスを感じます。宝瓶宮(水瓶座)のテーマは集団志向です。集団としてのこれまでを見つめ直し、全体としての成長を求めることになります。この際、逸脱したものは時として邪魔になります。

火星の行動が集団の利益にそぐわないものであったとき、宝瓶宮(水瓶座)の火星は、はみ出し者として扱われることになってしまいます。

宝瓶宮(水瓶座)の火星にとって最も快適な状況は、自分自身の行動が集団の先頭にあって、周りを励まし、自ら切り開き、皆が自分を頼ってくれるという状況にあります。しかし、宝瓶宮(水瓶座)のサインは、先を行きすぎるものを好みません。『彼がいなくては状況を維持できない』という状態は、宝瓶宮(水瓶座)のサインの中ではあまり好ましいものではないのです。仕組みとして、誰であっても目的が達成できる状態を作り上げ、継続性がある状態を作り上げることが宝瓶宮(水瓶座)のサインにおいて火星に与えられるテーマです。

ここで、革新的でありたい。自分自身が行動したい。という火星の性質が、火星に対して求められているものと相反することになります。宝瓶宮(水瓶座)学科性に与えるテーマは、自分がすでに行ったものを仕組み化し、更新を育成し、誰でもできるようにする。という仕事になります。その仕事は自分自身の実力が認められているからこそ、火星に求められていることだとしても『フロントランナーとして走り続けていたい』という火星の強い思いと相反することになり、ストレスになってしまうのです。

結果として宝瓶宮(水瓶座)の火星は、集団にそぐわなければ当然のようにはみ出し、集団の先頭に居れば自分の歩みを周囲に合わせるという事に不満を感じて飛び出し、集団の中に居れば埋没してしまう自分にストレスを感じてはみ出してしまうのです。

宝瓶宮(水瓶座)のテーマの中で火星は、実力を誇示して突出した個人でありたいという思いと戦い、周りに合わせ与えることもまた、突出した個人と認められる方法であることに気がつくことが必要になります。

 
魚座の火星は同調します

双魚宮(魚座)のテーマは適応と調和、安定することによる偏りのなさです。偏りがないという事はつまり、一つの方向にエネルギーを振り向けることができないという事になります。そのため、双魚宮(魚座)の火星は強引に突破する勢いをそがれます。結果としてその歩みを緩め、周囲と歩みを同じくすることになり、その状態が火星にとって不本意ではあるものの、周りと同調し、協調しているように見えるのです。

とはいえ、魚座の火星は周りとただ歩みを同じくしているわけではありません。双魚宮(魚座)のサインの包容力の中で動き回ります。自分たちの寛容で穏やかな世界を守ることは、火星の役割として認識されています。積極的に外界に踏み出さないものの、外界からの脅威に対しては仲間を守ろうとするのです。また、自分たちの世界の中で動き回り、同調することで自分たちが抱えている問題に気がつくこともできます。

外からの抑圧に自分たちを代表して抗い、中に向けては同調する中で、双魚宮(魚座)の火星の目には、自分たちが外界とどう違うのかが見えてきます。そのうえで、双魚宮(魚座)の火星は、自分(あるいは自分の仲間)が、自分たちの世界に閉じ込められているというフラストレーションを抱えます。次のサインである白羊宮(牡羊座)へ向けて、変革の起爆剤となるエネルギーをためている状態。それが双魚宮(魚座)の火星の状態であり、役割です。

 

 

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