フィボナッチ数

フィボナッチ数とは

フィボナッチ数列というものをご存じでしょうか。
自然界に多く発生する法則で、この数列に当てはまるものは人が美しいと感じる値だそうです。
黄金比と呼ばれる比率に、かなり近づいた数字です。
この数字
1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233,377…
と続くわけです。
フィボナッチ数を知らなくても、察しの良い方であればこの数列は、前の数字を2つ足したものが連続している数列であることに気が付くかと思います。

数字が小さいうちはこの通りになりませんが、1を第一世代2を第二世代として十五世代も進めると、ひとつ前の数字をその数字で割る(例えば2/3)と0.618、二つ前の数字をその数字で割る(例えば2/5)と0.382、三つ前の数字をその数字で割る(例えば2/8)と0.236という数字に、世代が進むほど近づいていきます。
金融の世界では、チャート分析上この数字 0.618と0.382及び0.236を重要視して、この数字が表れるようなチャートになるはずだ。という流派があります。

チャート上に表れるはずだ。という流派については、別の機会に書くとして、今回はフィボナッチ数ってそもそも何?というお話です。

十分に大きいフィボナッチ数として二十五世代~三十世代のフィボナッチ数を置いておくので、お暇なら電卓をたたいてみてください。
121,393
196,418
317,811
514,229
832,040
1,346,269

フィボナッチ数と黄金比

正方形を元にフィボナッチ数で黄金比を作る

フィボナッチ数を使って作成した長方形。どんどん大きくしていくと、縦横比が黄金比に近づく。

円を元にして黄金比を作る

黄金比の長方形

フィボナッチさんが考えた例

元々フィボナッチさんが考案した問題は次のようなものです。ウサギのつがい(2羽)が生後2ヶ月後から月に一度1つがい(2羽)のウサギを生む、ウサギが死ぬことなく次のウサギを生むとすると、
つがいの数は、

最初  : 1
1ヶ月後: 1 (生後2月以上:0 後1月:1)⇒生後0月+0
2ヶ月後: 2 (生後2月以上:1 生後1月:0)⇒生後0月+1
3ヶ月後: 3 (生後2月以上:1 生後1月:1)⇒生後0月+1
4ヶ月後: 5 (生後2月以上:2 生後1月:1)⇒生後0月+2
5ヶ月後: 8 (生後2月以上:3 生後1月:2)⇒生後0月+3
6ヶ月後:13 (生後2月以上:5 生後1月:3)⇒生後0月+5
7ヶ月後:21 (生後2月以上:8 生後1月:5)⇒生後0月+8

というものだそうです。

鼠算との比較

フィボナッチさんの例はウサギですが、ネズミを使った似たような数列に、鼠算というものがあります。こちらは、1,2,4,8,16,32,64,128,256,512,1024という具合に倍々に増えていきます。二進数的な増え方です。スマホやパソコンのメモリーとか、この数列になっていますね。

1つがいのネズミが1つがいのネズミを生むとして、絶え間なく生み続けると、つがいの数は1⇒2⇒4⇒8⇒16になるというものです。
フィボナッチとの違いは、ウサギは生まれた翌月は子供を産まないのに対して、ネズミは生まれた翌月から子供を産むという点です。その点では、フィボナッチ数の方がやや複雑といえるでしょうか。

鼠算に関する思考のほかの例では、2人の両親から生まれた私は、4人の祖父母の子孫で、その前の世代は8人で、さらにその前は16人で、10世代遡ると1,024人、30世代でなんと10億7,374万1,824人になります。30世代というと、全員が20歳で子供を作ったとすると600年前です。50世代で1,000年も遡ると、1京1,25兆8,999億684万2,624 人です。
フィボナッチ数の方が若干緩やかですが、どちらの数列も幾何級数的に数字が伸びていきます。
因みに、フィボナッチで50世代ですと、203億6,501万1,074です。

占い師にこんな話をさせるとまあ10世代、1,000人とか89人ぐらいの計算を持ち出して、あなた一人のためにこれだけの人数の人がかかわっている。あなたは特別で貴重な存在である。とか、先の数字を持ち出して、あなたの未来にはこれだけの人が関係する。あなたは特別な存在である。とかいって励ますのが常套句になるのかしらと思うのですが、実際のところは、こんなに幾何級数的なものではないはずです。

そして、これも矛盾ですが、アダムとイブであったり、イザナギとイザナミであったりの話からすると、ご先祖様は少なく収束するのが正解そうですが、上の例でそこまでさかのぼると、恒河沙とか那由多とかいう単位でも足りるのか足りないのかわからない感じになりそうです。

なぜ実際は幾何級数的に伸びないのか

ウサギの例もネズミの例も、どちらも、ウサギやネズミが死ぬことなく永続的に子供を産み続けることを前提にしているので、こんなにもとんでもない数字になるのですが、実際の世界ではウサギもネズミもどこかで子供を産まなくなり、やがて死んでいきます。
世代交代というやつです。
また、ウサギもネズミも、無制限にスペースと栄養があれば、際限なく幾何級数的に増えていくでしょうが、どちらも限界があるでしょう。

また、わたしのご先祖様問題にしても、すべての人が全く血のつながらない別人という前提の元に計算していくので、爆発的なことになっていますが、必ず別人ということでもないので、こちらも前提を見直す必要があります。
例えば、三世代前8人のうち2人とか、四世代前16人のうち3人が同じ人物だということは十分に考えられるわけです。

際限なく増えるわけではないという一つの例として、こんな問題があります。
ある日、池に蓮の葉が一枚、浮かんでいるのを見つけました。蓮の葉は翌日には2枚、翌々日には3枚と増えていきました。そうして14日2週間程すると蓮の葉は、池の面積の三分の一を占めるほどに増えていきました。
さて、池が蓮でいっぱいになってしまうまで、あと何日の猶予があるでしょうか。

この問題の答えは、残り三日後には池は蓮で埋まってしまう。
ということになるのですが、ここで考えたいのは、蓮の葉は、4日後には池をはみ出して地上を占領するでしょうか?
多分、蓮の葉は池のスペースの限りある限界まで、幾何級数的に増え続けるということであると思います。と信じたいです。

とはいえ、生き物というやつは人も含めて、いけるところまでは幾何級数的に増殖していくものなのかもしれません。
そして、先程の蓮の葉の例、行きつくまで行ってしまった蓮の葉は最終的にどうなるでしょうか・・・
おそらく、自分自身で絡み合い、自縄自縛となって大きく数を減らすはずです。もしかすると全滅するかもしれません。

幾何級数的に増やすのは、何もこどもや葉っぱの数だけではありません。
欲望や願望というものもまた、幾何級数的に増殖していきます。
最初は小さな幸せで満足していてもいつかそれに慣れ、次の幸せ、そしてさらに次の幸せを求めるのが常だと思います。だんだんと次に求めるものは大きくなっていくものです。

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