占星術で春分点を始まりと考える理由

ホロスコープでは、白羊宮(牡羊座)を始まりとして考えます。牡羊座が始まるのはいつも必ず、春分の日です。地球が春分点にいる時をスタートにして、地球が太陽の周りを一周する世界を考えます。一周を等間隔に区切り、30度づつのピースにしたものがサイン(宮)と呼ばれます。

ではなぜ、春分点が始まりなのでしょうか?

地球上のどこに居ても、明確に今日がその日であると観察できる特定の日でなおかつ、占星術が誕生した北半球だったから、春分点を始まりにしたということだと思います。

春分とは何か

なぜ春分点が特別なのか

古代のカレンダーは10ヶ月でできていた

春分とは何か

春分の日とはどんな日でしょうか?
昼夜の長さが同じ日だと答える方が多いと思います。

その通りなのですが、ひとつ付け加えるなら、世界中で昼夜の長さが同じになる日。ということになります。昼夜の長さが同じになる日がもう一つあります。秋分点です。春分点と秋分点だけが、『世界中で』昼の長さと夜の長さが『そろう』日なのです。

なぜ春分点が特別なのか

特別な日に設定しても良さそうな日が、春分点と秋分点の他にあと二つあります。夏至と冬至です。北半球では夏至の日は昼間の長さが一番長い日で、冬至の日は昼間の長さが一番短い日だと説明されます。

しかし、夏至や冬至を知ろうとすると、その地点の太陽の高さの推移を知っておく必要があります。夏至と冬至の日というのは太陽が最も北極方向に見える日と南極方向に見える日と言い換えても良いのですが、見え方が緯度によって異なります。しかも、昼が長いとか、短いと言っても緯度によってその長さはバラバラです。夏至の日、北極では白夜になって太陽がずっと沈まないですし、南極では極夜になって太陽が昇ってきません。冬至の日にはその逆です。

しかし、春分と秋分は太陽の見え方は緯度によって異なりますが、昼夜の長さが世界中で揃います。

古代から春分点と秋分点は観察されていました。ギリシャと同じく地中海にある国であるマルタ共和国、マルタ島のイムナイドラ神殿では、春分と秋分の朝日の光が奥の部屋に差し込むように調整された巨大な石の神殿がありました。下がその神殿です。ずいぶん昔の写真を掘り返したので違う神殿かもしれません…。

マルタ島の巨石神殿

実際古代から夏至の太陽と冬至の太陽も、大事な転換点として観察されていたと思いますし、実際大事にされていた事実も残っています。
※夏至というとイギリスのストーンヘンジ(Stonehenge)や、三重県にある二見興玉神社の夏至祭りが有名所でしょうか。

が、春分点の観察は特に大切だったのだろうと推測しています。何故なら、春分点が春だからです。暦を作る時、秋の収穫を最初にするよりは、春の種まきを始まりとしたということなのか、そもそも生き物が活動を始めるのが春なのでそこ(春分点)に焦点をあてたのかはともかく、一年のサイクルの始まりの基準を春の特別な日にしたのだと思います。

古代のカレンダーは10ヶ月だった

古代ローマでは1年は10ヶ月と特に名前のない60日程度でした。そして現在の3月頃を始まりとして12月で終わり、現在でいう1月と2月は特に月として定めてはいなかったそうです。元々古代のカレンダーでは3月(春分の頃)を始まりとしていたのです。

実は現在にもそのころの名残があります。10月の事を英語でOctoberと言います。オクトーバー。オクタというと数字の8です。オクタゴン(octagon)というと八角形、オクトパス(Octopus)というと八本足の生き物つまり蛸です。因みに三角形はトライアングル(trigon)、四角形はスクエア(square)、五角形はペンタゴン(pentagon)、六角形はヘキサゴン(hexagon)、七角形はヘプタゴン(heptagon)、九角形はナノゴン(nonagon)です。アスペクトの名称と関係あることですのでおさらいです。

それはさておき、10月は8番目の月だったのです。

1月(現在の3月:March)
2月(現在の4月:April)
3月(現在の5月:May)
4月(現在の6月:June)
5月(現在の7月:July)
6月(現在の8月:August)
7月(現在の9月:September)
8月(現在の10月:October)
9月(現在の11月:November)
10月(現在の12月:December)
名前のない月(現在の1月:Januaryと2月:February)

というわけです。9月(September)のセプトもフランス語やギリシャ語の7(sept)ですね。9はフランス語でヌフ(neuf)ギリシャ語でノナ(nona)ですし、10はフランス語でディス(dix)ギリシャ語でデカ(deca)なので、現在の9月~12月は昔の7月~10月の名残が残っているということになります。

完全に私の推測ですが、元々は春分(辺り)から指折り数えて11月頃までを10個に分けて、大体種まき~収穫までのスケジュールと年中行事を決めたり、この辺でこんな漁をしたり、こんな狩りをしたり、家畜をこんなところに連れて行ったりする計画や経験則の伝承を1~9月に当て込んで、10番目の月は春まで耐える季節としていたのではないかと想像します。乙女座の物語でも一年のうちの3ヶ月ほどは、ざっくり冬になったのだと言い伝えています。

ということで、占星術では春分点を始まりの区切りの位置に置いてサイクルを見る。ということになります。

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