水星が象徴するもの


水星

周期:88日
逆行周期:4ヶ月程度の間隔で3週間程

論理や判断、情報処理能力といったものを象徴します。情報処理の結果、どのように行動するのかを示すので、コミュニケーション能力、調整能力というものを象徴します。

「どのように反応するか」という傾向が、水星との位置に現れてるかと思います。調整能力を発揮してニュートラルであろうとするあまり、中庸で悩み多き星に見えることが多いです。

水星にはMercury(マーキュリー)、ギリシャ神話でいうところのオリンポス12神の一人であるヘルメスの名前が当てられています。ヘルメスは商売の神のイメージが強いです。市場を意味するMarket(マーケット)も、語源は同じところからきています。ヘルメスは旅人や、使者、泥棒の守護神でもあります。
古来商人というのは、外部と交流し商品を動かす存在です。つまり、外界との接点という事で、商品だけでなく情報を収集し、もたらす存在でもありました。

商売の神ということで、情報にもとづいて素早く動くということから、惑星の中でも特に頻繁に逆行し、よく動く水星にこの名前を冠したのだと思います。

商売の神様の名前が与えられた水星ですが、商人の真骨頂はコミュニケーション能力にあります。という事で、水星は情報処理や論理、判断力の象徴であるとともにコミュニケーションを象徴する惑星。という事になったのです。

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水星の逆行について

情報の惑星という事で、この水星が逆行するときには情報関係のトラブルが起きやすいと言われています。逆行中の特性はどちらかといえば、情報に対して過剰反応しがちで、誤解を生じやすいという傾向があります。そのため、金融占星術の世界では、水星逆行中は相場が崩れやすいと言われています。時々水星逆行は相場の反転サインなどと言われますが、反転サインというよりは、良い情報にも悪い情報にも過剰に反応する状態といえると思います。

普段は情報をうまく処理し、理性的に世界を安定させるように動いている水星が不安にかられ、目先の情報に右往左往してしまう期間。水星の逆行期間というのはそんな傾向が強い期間だと言えそうです。

水星とサイン(星座)の関係

牡羊座の水星は思いを吹聴します

牡羊座のサインは水星に対して外向きに情報を発信することを求めます。そのため、水星本来の情報を処理してから、冷静かつ狡猾に動く水星の本領が発揮できません。十分な情報が揃っていないにもかかわらず判断を求められ、憶測で結論というか決めつけをしてしまう傾向があります。

そのため思惑と異なる事実があるとき、自分の思惑の正当性を保つための別の事実を探します。

 
牡牛座の水星は裏付けを探します

牡牛座のサインは水星に対して『初期の段階では』情報を集めることを求めます。そして中盤から後半にかけて、分析の結果はっきりした方向に追従することを求めます。

そのため初期段階では慎重で動きが少ない傾向を発露しますが、後半の段階では頑固で融通が利かない傾向を発露します。

 
双子座の水星は情報を操作します

双子座のサインの支配星は水星です。まさに水星の本領発揮といったところです。双子宮(双子座)の水星は情報に対して機敏に立ち回り、かき乱し、自身の利益を最大化します。まさにトリックスターといった趣です。

基本的には与えられた情報に対して言葉通りに、素直に反応します。その方が楽しいうえに、適度な刺激はガス抜きになるというスタンスが根底にあります。

とはいえ、双子宮(双子座)の水星は世界を混乱させたいわけではありません。安定した世界が活気に満ちるように適度な刺激、スパイスを利かせて、そこから少しばかりの利益を手に入れようとしているだけです。

 
蟹座の水星は情報の裏読みをします

蟹座のサインは水星に対して情報を消化することを求めます。巨蟹宮(蟹座)のサインで水星は、与えられた情報の持つ意味というものに深く関心を抱きます。

双子宮(双子座)のサインで目端を利かせて、目敏く素早く機転を利かせて立ちまわっていた水星ですが、情報の裏にある隠された意味というものに関心を寄せるようになるのです。

例えば同じ『愛している』という言葉が情報として与えられたとしても、その裏にある意味を考えます。自分を手に入れたいからそのセリフが投げかけられたのか、あるいは不都合な別の何かを取り繕うためにそのセリフが投げかけられたのか、はたまた自分をつなぎとめておきたいがためにそのセリフが投げかけられたのか、状況によってその真意は様々です。

巨蟹宮(蟹座)の水星はその情報が生まれた裏に隠された感情、発せられた情報の熱量や状況を含めて考えることで、相手の真意を探究するのです。

 
獅子座の水星は情報を演出します

牡羊座を同じく獅子座のサインは、水星に対して外向きに情報を発信することを求めます。白羊宮(牡羊座)の水星も獅子宮(獅子座)の水星もどちらも『自分自身が周りからどのように見られたいのか』を情報発信の源泉にしている事は間違いないのですが、獅子宮(獅子座)の水星は自分をどのように演出するのかという事に注力します。

周りから称賛され評価されるために強調すべきところを強調するという点については白羊宮(牡羊座)における水星と同じくなのですが、獅子宮(獅子座)の水星はそのために隠匿すべき点も心得ているのです。

思惑と異なる事実があるとき時に強引に、そのことは全く大したことではないとして、その事実を否定します。

 
乙女座の水星は冷静な調整役です

乙女座のサインの支配星は水星です。双子宮(双子座)の水星がトリックスターとしての水星を強調するサインであったのに対し、今度は冷静な調整役としての水星の側面を強く強調し、その測面における水星の本領を発揮します。

獅子宮(獅子座)の水星が意図的に隠匿していたもの、これを名実ともに解決していくことが処女宮(乙女座)の水星の課題となります。もちろん自分自身の演出方法は心得ているので、全体としてうまくいっている場合は余裕をもって隠匿していた不都合に対処するのですが、全体としてうまくいっていない場合、原因を自分自身とは別の所に探し、それを否定します。ときにそれはスケープゴートを生み出すことになります。

 
天秤座の水星は正しい道に導きます

天秤座のサインでの水星はとても居心地よく感じます。天秤宮(天秤座)のテーマは「違う者同士の集まりこそが」集団であるということを理解するということです。そのため、異なるものをつなぐことを本領とする水星のテーマと合致するのです。

しかし、テーマが合致しすぎるという事は、その行動に対する強い肯定を受け、自分を振り返る機会を与えられないという事でもあります。まして天秤宮(天秤座)のテーマは異なるものを結びつけるという事にあります。相反する主張を調停しようとするあまり、自分自身の意見や主張を脇に置いてしまう傾向にあります。

双子宮(双子座)の水星が情報に素直に反応し、『YES!』を基本とした行動にあるのに対して、『YES.BUT』と続けて自分が手にしている別の情報との調整を図る行動に出ます。天秤宮(天秤座)での水星のテーマは(自分以外の)他者に相互理解をもたらすことなのです。そのため、自分はさておき『他者同士をうまくいかせることを考える』という事が水星のテーマになるのです。

 
蠍座の水星は自分について悩みます

蠍座のサインにおける水星は本来の調整役としての本領を発揮することができません。

天秤宮(天秤座)での水星のテーマは(自分以外の)他者に相互理解をもたらすことでした。天蠍宮(蠍座)で水星は『それでは自分はどうしたいのか』という課題を与えられることになるのです。他者同士をつなぐ中で水星は異なるもの同士のそれぞれの正義を識り、調整しました。自分の正義はどこにあるのかは、さておいているのです。

『自分はどうしたいのか』を問われたときに行うことは何でしょうか。自問自答することです。自問自答する中で、水星は世界と自分の違いを考えることになります。つまり天蠍宮(蠍座)の水星は、自己同一性(アイデンティティー)を確立していく過程の苦しみを味わうことになるのです。

自分自身に対する承認欲求が満たされるとき深い幸福感に包まれるのですが、多くの場合、他者から認められない部分について深く悩み、自己批判の感情に苛まれることになります。

 
射手座の水星は自分の方向を探します

射手座のサインは水星に混乱を与えます。人馬宮(射手座)のテーマは(自分自身にとっての)真実と自由の探究です。調整役である水星にとって、自分自身の内なる理想を求め肯定し、そのためだけに行動することは苦痛となります。

天蠍宮(蠍座)の水星もそうだったのですが、水星は自分自身を意識するとき、他者との関係性を抜きに自分を考えることができません。世界と自分を分かつ枠組みを探り、世界との境界線、つまり世界との接点だけが自分自身の形であると考え、世界と自分自身の共通する部分を探り、世界と自分の落としどころを見つけるのです。対して人馬宮(射手座)のテーマは自分自身の核(コア)の探究であり、それが世界と接しているかどうかは関係がありません。多くの場合、核(コア)は外界と接していません。そのとき、水星は自分自身を定義することができず、右往左往する羽目になります。

また、自分と世界を考えるとき、世界と相入れないものの方が自分自身の独自性として解りやすく見えます。そのため、明確に自分と他者が区別されるものを見つけると、それこそが自分らしさであると考え、自分自身にとっての細部であったとしても、あたかもそれこそが自分自身であるかのようにふるまい、自分自身をラベリングしようとします。

 
山羊座の水星は折り合いを模索します

山羊座のサインは水星に対して現実の問題を突きつけ、他者と自分の折り合いをつけることを求めます。他者同士を俯瞰的に見ることや、自分自身はどうなのかという問題についてある種、別の問題としてとらえていた水星ですが、磨羯宮(山羊座)では、それらをすり合わせることを求められるのです。

天秤宮(天秤座)で他者同士を結び付ける過程で世界の枠組みについて学び、自分自身は何を成し遂げたいのかを天蠍宮(蠍座)で悩み、自分は何者であるのかを人馬宮(射手座)で思考した水星に対して投げかけられるメッセージは、この関係性の中で、果たして自分に何ができるのか。という問題提起です。

知っている事しか知らないことのなかから、世界の枠組みの『中で』自分という枠組みを規定し、自分という枠組みの『中から』できることを探します。できることしかできないという着実で堅実な答えを導き出すのが磨羯宮(山羊座)の水星の能力です。翻って空想や想像による創造的なアイデアは、それを妄想として脇に置いておくこととなります。

着実で枯れた行動が最も安全な行動であるという思いが強く、ブレイクスルーとなる創造的で独創的なアイデアを求めながらもそれに踏み切れず、今すぐ解決したい問題に対して時間がかかる解決策を導き出し、遅々とした歩みに歯痒さを感じながら他方、一挙に解決を図って失敗する事への不安感からリスクを取る勇気が持てないこととの狭間で思い悩むことになります。

 
水瓶座の水星は変化を許容します

水瓶座のサインは水星に対して世界は変化するものであるという救いの手を差し伸べます。他方、自分自身も変化するものであるという葛藤を与えます。磨羯宮(山羊座)の中で水星は世界と自分を規定し、規定した世界の中で自分は何ができるのかについて思い悩みました。宝瓶宮(水瓶座)のテーマは世界の規定を変化させていくことにあります。世界はうつろい、自分自身もまたうつろうものであることを水星に教えるのです。変化する状況や情勢に応じて自分自身もまた変化していかねばならないという事に水星は気が付きます。

水星はその本質として周りを見渡すことに長けています。宝瓶宮(水瓶座)のサインの中で、変化する周りの状況を機敏に察知し、それに合わせていくという事については速やかに理解します。しかし理解し行動する段になって、自分自身を変遷させる必要があることを理解した時、ときにそれは過去の自分に対する否定にもつながります。自己肯定と共に変遷する世界に合わせていくことができるのであれば水星に幸福感と達成感を与えることになりますが、自己否定と共にそれをなさねばならないとき、それは水星に苦痛と葛藤を与えることになります。

 
魚座の水星は直感を重視します

魚座のサインは水星に対して直観を与えます。双魚宮(魚座)のサインの中で水星は、全体の中の小さな自分を認識するのですが、小さな自分自身の中にある幸福に気が付きます。

自分自身の内側にある大切なものを守り、慈しむために外に向ける大きなエネルギーは必要ないことに水星は気が付くのです。そのことに水星が気がついたとき、これまでのサインを巡る旅の中で、過剰に反応し過剰に気を使っていた水星の反応という側面が穏やかになります。

穏やかになり、小さな自分を見出した時、水星は逆にミクロな世界に向けていたエネルギーをマクロな世界に向けることができるようになります。大きなエネルギーを染み出させ、世界を俯瞰してみることができるようになるのです。

宝瓶宮(水瓶座)のサインの中で水星は、変化していく世界と変化しなければならない自分との間で思い悩みました。双魚宮(魚座)のサインの中で水星は、自分の中に胎動する変化を慈しみながら、変化する世界を受け入れるというテーマに気が付くのです。

 

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