大潮 月と太陽の力

若潮という言葉は聞いたことがないとしても、大潮という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。因みに、大潮というのは潮の満ち引きが一番大きくなる日、長潮というのが潮の満ち引きが一番小さい時期を指します。若潮というのは長潮の翌日を指します。中潮と呼ばれる時期もあります。

星からの影響ということで、月と太陽から受ける影響というものは、はっきりとわかる形で影響を受けています。

太陽からの影響で大きく気温が変化しますし、満月の日には太陽が沈んだ後で月が昇り、夜道を歩くことができます。街灯もない時代には提灯や燭台の明かりよりも、月明かりの方が明るいぐらいだったことでしょう。月のない夜には星明かりを頼りに夜道を歩いたかもしれません。

気温や明るさの他にはっきりと、月と太陽の影響を受けているものがあります。潮の満ち引きです。

潮の満ち引きとは

海の高さが変わることです。正確には、海面の高さが変わることです。主に月の引力にひかれるか、月の引力が弱まることで海水が地球の外方向に引っ張られて海面が高くなる状態を満潮といいます。反対に海面を引っ張る力が弱い時を干潮といいます。

干潮と満潮の海面の高さを干満差といいますが、普通に月と太陽の影響を受けるだけで、長潮時で1m弱、大潮の時で1.5m程度の干満差が普通に出ます。単純に水面が引き上げられるだけで干満差が生じるわけではないので、場所によっては15mの干満差があったということもあるようです。

日本各地の満潮と干潮の時刻と潮位は、気象庁の潮位表で調べることができます。

大潮:月と太陽が一直線に並ぶ日

大潮というのは、月と太陽と地球が一直線に並ぶ日の潮の満ち引きの事で、満潮時と干潮時の海面の高さの差が最も大きくなる日の事をいいます。占星術的に表現すると月と太陽がコンジャクションの時とオポジションのアスペクトを取るときに大潮となります。

実際は引き上げられた海水が最も盛り上がるのは、完全にコンジャクションやオポジションの瞬間に満潮になるのではなく少し遅れます。夏至(6月)や冬至(12月)の時期に一番暑くなったり寒くなったりするわけではなく、少し遅れた時期に影響が最大になる(一番暑くなったり寒くなったりする)のと同じことで、いつも大騒ぎするのは、その力が最大の時よりも、少し遅れるものです。実際にはピークを過ぎているときに初めて、事の重大さに気が付くというものです。金融の世界でも何かが起こってピークが過ぎてからそのことについて論じていると感じることはよくあります。逆に揺れる柳に怯えすぎて、本当の幽霊が出たときには材料出尽くしといって何も動じないことも多々ありますが…。

新月の大潮は、こんな感じになります。

新月の大潮の説明

満月の大潮は、こんな感じになります。

満月の大潮の説明

月と地球の重力が合わさることで、ちょうど月と太陽と向き合う場所と、ちょうど反対になる場所の2か所で、海面が引っ張られて盛り上がるということになります。

干満の差が小さい小潮の時はどうかというと、こんな感じです。

小潮の説明

月と太陽が90度になるとき、ホロスコープでいうスクエアのアスペクトの時に月の力と太陽の力が分散されて、干満差が小さくなってしまいます。こうしてみると、スクエアのアスペクトがすれ違いを生じさせるアスペクトだということに納得がいきます。

とだけ説明すると、新月の大潮の絵の右側、月と太陽の反対側でも海面が盛り上がるというのがどうにも納得がいきません。満月の時の絵では、月と太陽がお互いに逆方向に引っ張り合うので、むしろ干満差は小さくなるのでは?という気になりませんか?わたしはなります。

しかし事実として、満月の夜にも大潮になります。このことについて、月の反対側では遠心力が働くので干満差が大きくなるという説明をされます。が、どうにも私は納得がいきませんでした。地球の自転の遠心力ということだとすると、同じ緯度であれば同じ遠心力がかかっているはずで、月と反対側の海面が盛り上がる道理にならないのです。公転の遠心力で、太陽から遠い方がやや遠心力が強いということだとすると、満月の日に月と反対側で大潮になる理由に納得がいきません。

ということで、もう少し潮の満ち引きはなぜ起きるのかを掘り下げてみたいと思います。ここから先は私の趣味です。

ざっくりまとめると、月の重力の影響で月に近い方が満ち潮になります。また、月と地球はお互いにひかれあって、ワルツを踊っているから遠心力で満ち潮になります。そして、秋分~冬至~秋分の時期の大潮の方が干満差が大きく、潮干狩りができる。ちょうどそのころに旬をむかえるのがアサリなので、潮干狩りといえばアサリだということになります。

重力による潮の満ち引き

月と太陽を比べると、月の方が潮の満ち引きに与える影響は大きいです。その差は月の方が太陽の2倍引っ張る力が強い程度です。

月の重力だけで潮の満ち引きを考える

月の重力だけで潮の満ち引きが起こる理由としては、月の方にいる時に地表(海面)は裏側にいる時よりも月に近いので、重力がより強くなるのです。※重力は物質の重さに比例し、距離の二乗に反比例します。地球と月の距離は38万4千㎞地球の直径は1万2千㎞ですから。月に近い方が月から遠い方よりも1.06倍重力が強いと言えそうです。6%というとけっこうなものです。月の方を向いているときは海面が6%強い力で引っ張られて海面が盛り上がるいうのは納得がいきます。

太陽の重力だけで潮の満ち引きを考える

太陽と地球の距離は1億5千万㎞です。地球の直径は1万2千㎞ですから、太陽の方を向いている側とその裏側では…重力はそんなに変わりません。0.01%ぐらいですので、私たちが体感できるレベルではないです。といっても、太陽の重力は大きいので(太陽の重量は月の2千700万倍)月の重力に対して173倍になります。これが0.01%変わると影響力は月の重力での影響の三分の一程度でしょうか。ものすごく大雑把に計算したので、自信ないです。

遠心力による潮の満ち引き

地球の自転だけを考えると、同じ緯度であれば同じ遠心力がかかるはずです。そのため、月の裏側で地球の自転による遠心力によって満ち潮になるという説明は間違っている。というか足りていません。

月の重力が地球を引っ張るように、地球の重力もまた月を引っ張っているのです。というかむしろ、地球の重力の方が強く月を引っ張っています。つまり、地球は月にひかれて月の方向に向かって落ちていますし、月は地球にひかれて地球の方向に落ちています。お互いの重さが釣り合う位置つまり重心を中心にして、ワルツを踊ってターンしながら、黄道面というステージで太陽の周りを踊りながら廻っているのです。

こんな感じです

重心を中心に踊りながら公転する月と地球

左側の月と地球を拡大して月から一番遠い場所Aと一番近い場所Bの月と地球の重心を中心にした動きを取り出すとこんな感じになります。

満潮時の遠心力の説明

重心の位置は地球の中心から月寄りに4千6百㎞近づいた位置にあります。ということで、月寄りの海面は重心から1千4百kmほどの位置、月と反対側の位置は重心から1万6百km程の位置になります。その差は約10倍です。ということで、月から一番近い場所では遠心力は一番弱く、月から遠いところでは遠心力が一番強く、月からの重力が一番弱いので、遠心力で海面が盛り上がるということになります。

太陽と地球でも同じことが起こるでしょうか?

答えはNOです。太陽の重量は地球の30万倍です。地球と太陽の重心は、太陽から500㎞辺りの位置になります。太陽の中です。重心からの距離は、太陽に近い側でも太陽から遠い側でも変わったと言えるものではありません。地球の表と裏の距離の差で1億5千万㎞が1億5千1万㎞になったと言っても誤差のようなものです。というか誤差です。

とはいえ、太陽から一番遠く、月から一番近いもしくは一番遠い場所では、太陽からの重力の影響が一番小さく、他の海面よりもより強く月の影響を受けるということになります。

ということで、

月と太陽の重力が合わさって新月の日中の満潮になる。

月と地球の共通重心を中心にした遠心力と太陽の重力が合わさって満月の日中の満潮になる。

太陽の重力の影響が小さく、月と地球の共通重心を中心にした遠心力の影響を強く受けるので新月の夜中の満潮になる。

太陽の重力の影響が小さく、月の重力が大きいので、満月の夜中の満潮になる。

新月の大潮 満潮の原理

新月の大潮の説明詳細

満月の大潮 満潮の原理

満月の大潮の説明詳細

年間で最も干満差が大きいのは

最後に、地球は太陽の周りを楕円軌道を描いて廻っています。そのため、地球と太陽が一番近くなるのは冬至の季節になります。ということで、冬至の満月もしくは新月の辺りでの干満差が最も大きくなります。

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