カテゴリー
未分類

四弘誓願とベッポの言葉

-実践編-四弘誓願とベッポの言葉の使い方

例えばタロットカードでケルト十字法で占ったときに、能力の位置に戦車、内心の位置に月のカード、直近の未来に魔術師の逆位置のカード、最終結果の位置に世界のカードの逆位置辺りが出現した時などはこの言葉を使うチャンスです。キーカードに節制のカード辺りが出てくれていると完璧です。ちょっとやってみましょう。

今の内心の位置に月のカード、これは満月のカードです。満月のカードというのは充実しているカードというわけではなくて、これからかけていく月のカードという読み解きをします。不安な気持ちとか逃げ出したい気持ちを象徴しているカードが出ているということです。

近い将来には魔術師のカードの逆位置が出ていますから、これはどちらかというと、自分の得意分野に熱中して周りが見えなくなるとか、周りから孤立してしまう孤独な研究者のようなイメージのカードです。

もしかするとあなたが今やりたいことに対してなかなか協力が得られずに不安感をかかえていたり、ゴールまでの道のりが遠くて気がめいってしまっているのではないのでしょうか。

こうなると頼る相手を見つけ出したいという気持ちになるかと思いますが、最終結果のカード世界のカードの逆位置が出ていますから、少し困難が伴いそうですね。周りからの称賛が得られないという結果になってしまうかもしれません。などと言って相手の不安に探りを入れます。

何か新しいこととかか、好きなことにチャレンジして、現状を打開しようとしているけれど上手くいかないとか、今一つ一歩が踏み出せない。勢いが不足している。という事はありませんか。

などと言って少し相手の顔色をうかがいます。これバーナム効化を狙っているので、何かしら思い当たる節をお相手が思い浮かべて浮かない顔をしていただければ成功です。相手との信頼関係ができていると、この段階で相手から、実は……と言って現状のお話や悩みを打ち明けられるかもしれません。

でも安心してください。能力の位置に戦車のカードが出ていますので、あなた自身に現状を打破する力、困難を乗り越える力があります。ここで、相手の能力に肯定し、実力を認めます。

新しいことをするって、不安ですし、これからどんな困難が待ち受けているのかがわからないので逃げ出したくもなりますよね。などと言って相手の不安な気持ちを承認するのも効果的です。

でも最終的には世界のカードの逆位置が出ていますから、少し良くない事になるかもしれません。周りを巻き込むことに苦労するかもしれません。注意していただきたいのは、自分自身の得意分野に没頭する傾向にあるようです。おそらくこの辺りが原因で孤立してしまうとか、そこに偏りすぎて周りから受け入れられないという結果になってしまうのではないでしょうか。

世界のカードを逆位置に戻しながら、相手に問いかけます。このカードを正位置にして、周りからの称賛や協力を手に入れてより良い結果に変えていくにはどうすればよいと思いますかと。

キーカードに節制のカードが出ていますから、この世界のカードの逆位置、これを正位置に変えていくためには節制のカードが意味している事、献身とか、周りに与えるという事が重要になるかと思います。自分の好きなことをするという事も大事なのですが、自分が周りに何ができるのかという視点に立って行動されることをお勧めします。

ここでさらに一拍置いて、先程のベッポの言葉を引用します。

「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん。わかるかな? つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひとはきのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」またひとやすみして、かんがえこみ、それから、「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」そしてまたまた長い休みをとってから、「ひょっと気がついたときには、一歩一歩すすんできた道路がぜんぶ終わっとる。どうやってやりとげたかは、じぶんでもわからん。」彼はひとりうなずいて、こうむすびます。「これがだいじなんだ。」

モモ ミュヒャエル・エンデ作 大島かおり訳 
岩波書店1976年9月24日発行
1989年12月20日第41版
48ページ、49ページからの引用

この言葉は道路掃除夫のベッポが、途方もなく長い道路掃除を担当した時にどうやるのかという事を語るシーンです。あなたも道路掃除夫のベッポと同じく自分の至るべきゴールまでの道のりが遠くて途方に暮れ、任せるものも、先に進んでいるもの、導いてくれるものもいない。という心持になってしまっているのではないでしょうか。

しかしこの道路掃除、皆のために誰かがやらなくてはならない仕事です。そのことを忘れずに、目の前のできることをやっていると、きっとやっていることが楽しくなってくるのではないかと思います。目の前の事を楽しみながらやりつつ、道の上に立ち続けているこれがだいじなんだな。という事ではないでしょうか。

似通った精神を教えてくれるものに、仏教のお経の中に四弘誓願文というものがあります。衆生無辺誓願度・煩悩無尽誓願断・法門無量誓願学・仏道無上誓願成というものです。このお経は教えというよりはむしろ誓いで、途方もない道のりのなかで、周りへの慈愛を忘れることなく、たゆまぬ努力を続けるという誓いなのです。

今できることや、今周りにいる人の事を大切にしながら一歩ずつ前に進んでいくことを楽しむことができたなら、こんな風に自分のできることを楽しみながらやっているときっと、ベッポが気がついたときには一歩一歩すすんできた道路がぜんぶ終わっとる。という事になるのではないでしょうか。

あなたがしようとしている事だったりしている事はきっと、とても大切なことです。もしかするとあなたは今、自分の進んでいる道をつまらないことだと思って卑下したり、あるいは途方もないことだと思って委縮したりしてしまっているかもしれません。でもベッポの掃除する道路掃除の様に誰かがやらなくてはならない大切な仕事で、長い長い道路であるがゆえに途方もなく心が折れそうな仕事でもあるのではないかと思います。

今あなたが行っていることの先にある結果のことを一足飛びに考えると恐怖が生まれてしまうのではないかと思うのです。今できることを、今の仲間たちと、楽しみながら進めていくことができれば、気が付くといつのまにかこんなところにまでたどり着いたのか。というところまでたどり着くことができるのではないでしょうか。あなたにはたどり着くことができるだけの力があると、(戦車のカードをつまみ上げて相手に見せながら深く頷きながら)タロットカードはささやいています。

そしてきっと、後ろを見ると、自分ではない誰かが自分が掃除した道路を楽しそうに歩いているのです。きっとその時(戦車のカードを元に戻しつつ、世界のカードの向きを逆にするために指で押さえます)ここに出ている世界のカードは、逆位置から正位置にひっくり返っているのではないでしょうか。一呼吸おいてから、お相手に目線を向けたままで、世界のカードの向きを逆にします

と言って締めくくって、お相手が自分のできることで人の役に立てるように頑張ろう。などと思っていただければきっとうまくいきます。